福島原発事故考

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2016/05/11 放射能汚染の実態

前の記事[2015-01-24]で、 青森県の小児がんの動向から、六ヶ所再処理工場による放射線被害が証明できることを示した。
前の記事から1年分のデータが追加され、小児がんの罹患数と使用核燃料の受け入れ量(=使用核燃料の処理量)に強い相関関係を見たので、ここに報告する。

1.青森県の小児がんの変化
次の表は、青森県がん情報サービス - 統計データ・資料集の『青森県小児がん等がん調査事業報告書(平成27年度) 』の9,10ページ目の内容から作成したものである。

青森県の小児がんの年度毎の罹患数

2.六ヶ所再処理工場の使用済燃料の受入れ状況
次の表は、日本原燃株式会社の『使用済燃料の受入れ状況 』である。

使用済燃料の受入れ状況

3.六ヶ所再処理工場の放射能汚染の実態
2の『使用済燃料の受入れ状況』のグラフに、1の『青森県の小児がんの年度毎の罹患数、男子,女子の合計』のグラフを重ねてみる。

受け入れ量の1年後を、小児がん罹患数が追うように、プロットしているのがよく分かる。
とくに、山と谷による上昇と下降の様子が、正確にプロットされている。
平成12年の小児がん罹患数が多いのは、集計を開始したときの患者数を数えたためか、ガラス固化などの試験でカウントされない放射能物質を放出したのだろう。
また、平成23年からの福島原発の影響が徐々に現れ始めているのも見てとれる。
これだけの強い相関関係があると、六ヶ所再処理工場から垂れ流した放射能物質によって、青森県の子供の小児がんが増えたと結論できる。
これは前の記事[2015-01-24]でも言っていたことで、グラフに表すと一目瞭然である。
あと、26年度のデータに一桁にならないように若干数値を加えているあたり、情報操作の跡が見られる。
それに発症した年は、子供のことであり10年位前のことであれば、親に聞き取り調査を行えばほとんどわかるはずだが、他の公への申請年度とするあたり、 情報操作の余地を残しているものと思われる。
青森県のがん死亡率が全国一なのも、六ヶ所再処理工場から垂れ流した放射能物質により、がん患者が多いためであろう。

4.追記
原燃輸送株式会社輸送実績の 『六ヶ所向け使用済燃料輸送量の推移(PDF形式)』から、受け入れ量の数値が入手できたので、使用済み核燃料受入量と小児がんの罹患数のグラフを作成してみた。

矢印が、受入数の一年後の小児がん罹患数を示している。
山は山、谷は谷と対応しているのが良く分かる。

5.小児がんの発症時期
小児甲状腺ガンの最短の潜伏期間は、1年〜1.5年という。
六ヶ所の小児がんの調査では、発症した年をカウントしているので、この最短の潜伏期間は、1年か、あるいは、一年以内になる。
発症した時ということは、鼻血が止まらない,体がだるいなどの初期症状で医師にかかったということで、白血球が増加するなどの小児がんが確定したのが1〜3年後としても、最初にかかった時をカウントするということである。
また、小児がんの半分くらいを占める白血病では、他のがんのように細胞の塊である腫瘍が大きくなって初めて影響を及ぼすのに比べ、分裂した単体の細胞が全身にすぐにいきわたるので、最短の潜伏期間は、1年〜1.5年よりもさらに短いだろう。
受入数の一年後というのは、一年から最大二年の幅があるので、一年後に影響が現れるというのは納得するものであり、実際にそのようになっている。
放射能物質の拡散の量(受入量)によって、小児がんの罹患数がかなり影響しているのがわかるので、平成19年度の最大40人が小児がんが発症しているうち、平成23年度に半分の20人になっているので、平成19年度の20人ほどが六ヶ所再処理工場の影響を受けている可能性がある。
平成23年度以降、受入量がわずかになっているに関わらず、5人ほど増えているのは、福島原発事故の影響だろう。
在住者が飛散した放射能物質のせいで直接被曝したもの、あるいは、福島から転入した児童が発症している者も含めて、平成23年度以降、年間5人ほどが福島原発事故の影響を受けている可能性がある。

6.処理工場というもの
受け入れた使用済み核燃料は、再処理を行いプルトニウム,ウランを回収する。
その際高レベル放射性廃液が発生する。
この高レベル放射性廃液をガラス固化という技術により、ガラスの中に放射能物質を封印する。

そのときに発生するトリチウム,希ガスを含む水蒸気は、高い煙突で環境にそのまま放出される。
高レベル放射性廃液を高温の溶融ガラスに触れれば、当然、溶媒である水は蒸発する。
トリチウム,希ガス,そのほかの揮発性放射能物質はそのまま垂れ流しである。
使用済み核燃料の受け入れの再処理で、多量の放射能物質が環境に放出され、その放射線により環境暴露したものが小児がん罹患数として現れているということだ。
また、未だにガラス固化の技術が確立していないで、失敗ばかりと言う。
キャニスターに入れる前に固まってしまい、不良のガラス固化体を多く生産しているという事だ。
この後始末で、洗浄などの工程でも、多くの放射能物質が環境に流出しているという事だ。