ウィキペディアの改変した部分

ウィキベディアの”イベルメクチン”の記事で、致死量をのことを「イベルメクチンのLD50(半数致死量)はマウス25mg/kg(経口)、イヌ80mg/kgであり、ヒト等価用量LD50範囲2.02 – 43.24mg/kgに相当する[107]。」と言っています。
要約すると、「イベルメクチンの致死量は2.02~43.24mg/kg」と言っていて、これを見る人は危険な方を重視しますから、イベルメクチンの致死量は2mg/kgと理解します。

致死量を2mg/kgと改変

この元となっている論文のウィキペディアが参照している部分の訳文を、次に載せます。

マウスで報告されている致死量50(LD50)は、経口投与された場合25mg/kg であり、そのヒト等価用量 (HED) は
2.02mg/kgです。
この化合物をマウスに腹腔内投与すると、LD50は 30mg/kgまで増加します(HED 2.43 mg/kg)。
ラットの場合、平均致死量は経口で50 mg/kg(HED 8.01mg/kg)、腹腔内で 55 mg/kg (HED 8.91 mg/kg) です。
ウサギでは局所投与で406mg/kg、イヌでは経口投与で80 mg/kg (HED 43.24 mg/kg)。
明らかに、系統発生スケールが高くなるほどイベルメクチンによる毒性は低くなると思われます。
これらのデータは、アベルメクチン中毒に関する総説論文(自殺企図に関する14件)の結果と一致しています。
この遡及的調査では、アバメクチンに曝露された患者 18 名とイベルメクチンに曝露された患者 18 名のうち、
15名が経口摂取により中毒を起こした。
4人は無症状で、8人は軽度の症状があり、平均摂取量は23 mg/kg(範囲は4.2~67 mg/kg)でした。
平均100.7 mg/kgのアベルメクチンを摂取した後、7人の患者が昏睡(7名)、呼吸不全を伴う誤嚥(4名)、
低血圧(3名)などの重篤な症状を示した(イベルメクチンは15.4mg/kg、アバメクチンは114.9mg/kg)。
7人の患者全員が集中的な支持療法を受けた。 1人の患者は多臓器不全により18日後に死亡した[21]。
ヒトでは、イベルメクチンの標的はCNS内に限定されているため、低レベルの毒性が生じると考えられています。

PMC5835698

ウィキペディアでは、マウスと犬の致死量の人の等価容量を、人の致死量の範囲と言っています。
しかし、参考の論文には一言もそんな事は言っていません。
論文では「明らかに、系統発生スケールが高くなるほどイベルメクチンによる毒性は低くなると思われます。」と言っており、これは、イベルメクチンの神経毒を回避する脳関門が、高等生物ほど発達しているということです。
つまり、ヒト等価容量(HED)で換算するのではなく、マウス(25mg/kg)<いぬ(80mg/kg)<人間と言うことになります。
さらに、論文ではイベルメクチンを大量に飲んで自殺しようとした例をあげ、「4人は無症状で、8人は軽度の症状があり、平均摂取量は23 mg/kg(範囲は4.2~67 mg/kg)でした。」と言っているとおり、12人の自殺者で飲んだ量の範囲は4.2~67mg/kgであり、この範囲の用量では人は死ななかったと明記されています。
ウィキペディアの”イベルメクチン”の著者は、論文を自分の都合の良いように改変しています。

致死量は2mg/kgではないという証拠

最近イベルメクチンの安全性、もっというと致死量について、カメルーンから報告がありました。
標準用量0.2mg/kgの100倍、つまり、20mg/kgの用量を飲み、軽度の意識障害と、視覚障害で4日間入院で、イベルメクチンの安全性が確認されたという報告論文です。

ウィキペディアの影響

SNSなどで、イベルメクチンの致死量が2mg/kgという嘘がまかり通っているのは、ウィキペディアのせいです。
効く用量である、一回0.4~0.6mg/kgの一日一回を5日間を、高用量と特別扱いして人々をことさら畏怖させて飲まないように誘導し、治験,研究を萎縮させました。