福島原発事故考

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2017/12/20 トリチウムの危険性

経済産業省の『トリチウムに係る規制基準』の3ページにトリチウムの放射線限度量が定められている。

しかし、トリチウムを放射線量で規制するとは、どういうことなのだろう。
β崩壊で放射線の影響は小さいけれど、水素からヘリウムに変化するとき、DNAに組み込まれた水素では、ヘリウムになったとたんに水素結合が無くなるのでDNAが簡単に切断されてしまう。
これは、セシウムなどの強力な放射線よりも、より重大なダメージを人に与えているということである。
この観点からは全く規制されていないので、やはり、原発はがん製造機ということができる。
水は海水より蒸発して日本、あるいは、世界中のどこでも降り注ぐ。
原子そのものが変化してしまう劣化したものは、排出するべきではないということだ。

1.トリチウムによる健康被害の知見
専門家は、水がどれだけ体に停滞し、その間どれだけ被曝したかを積算するようだ。
しかし、トリチウムがどうやって体に取り込まれるかは水だけではない。
庭で育った菜っ葉など、炭酸同化作用によって有機物になって体に取り込まれる。

例えば、朝方雨が降った中にトリチウムが入っていて、光合成で有機物になった菜っ葉を、お昼に食す。
食した菜っ葉の有機物がタンパク質であった場合は、アミノ酸に分解されてDNAに組み込まれる。

このように、ごく自然にスムーズに体に取り込まれていく。
新陳代謝の活発な子供では、より深刻な健康被害が生じる。
このことは、原子力百科辞典(ATOMICA)の『トリチウムの生物影響 (09-02-02-20)』で有機結合型トリチウムという言葉で触れられているが、トリチウム水の長期摂取の実験しか行っていない。

有機結合型トリチウムの毒性も、『経口摂取したトリチウム水の生物学的半減期が約10日であるのに対し、有機結合型トリチウムのそれは約30日〜45日滞留するとされている。』という残念な考察で締めくくられている。
滞留するだけではなく、重要な体の一部として取り込まれるという考えが全くないのである。
法律も、この実験結果などから算出した被曝量という考えからでしか作られていない。

2.トリチウムの危険性
研究者は、政府と結託してトリチウムの危険を過小評価している。
前の記事[2016-05-11]で、六ケ所再処理工場の高い煙突より広く拡散したトリチウムによって、年間20人ほどが影響を受けている可能性があることを示した。
六ケ所再処理工場も法律により、放射線量の許容限度が定められている。
これは、全国の原発の放射線量の許容限度というのが、がんが発生しないことにはならないということだ。
トリチウムの危険性をまともに評価すると、原発から出されるトリチウムが問題になる。
トリチウムを収拾して排出できないようにすることは不可能なので、原発の運用に支障の生じるトリチウムの毒性を無視するしかないのである。